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加藤元浩『C.M.B.』33巻 講談社

 「ほんとうに哀しくなるのは

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  49日すぎからだと友達は言った」(辛島美登里「Two of us」)

 

 この巻に収録されている「いつかの文学全集」では、夫を亡くした女性がハワイへ旅立ちます。観光には目もくれず、ホテルの部屋に入った彼女にはやりたいことがありました。ところが、その「やりたいこと」は一向に進みません。

 話数の最後には、「やりたいこと」を後まわしにしてきた理由に思い至ります。そして、それにこれまで気づけなかった理由も話数内で解決される事件のトリックと通じるものがあるように感じられます。

 犯人が隠したもののように見えなくなっている、彼女をハワイへのロングステイへ向かわせたものが、話数の最後で姿を現します。

 結婚しても別れる人もいる。死別して一人残される人もいる。それなら、独身を貫いてひとりでいた人と行き着く状態は同じ、という考え方があります。でも、それは2人で過ごした時間が確かにあったということを考慮に入れてない、としみじみ感じる話数でした。