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加藤元浩『C.M.B.』32巻 講談社

マンガの感想

 この巻には「灯火」「混信」「邪視除け」「魔道の書」の4話が収録されています。

 「身勝手は学問の本質だろう!」(「灯火」)

 人類の来歴を明らかにする可能性を持つ化石がイランで発見されます。それを国外へ持ち出そうとする英国の学者はイラン政府と対立することとなります、というのが「灯火」の始まり。

 ネアンデルタール人と言えば、スヴァンテ・ペーボの『ネアンデルタール人は私たちと交配した』(文藝春秋刊)やパット・シップマンの『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』(原書房刊)といった邦題にネアンデルタール人を含む本が昨年、出版されていたことを思い出します。

 「灯火」のお話自体は、歴史上の「略奪」にも触れながら化石の正当な所有者を巡って展開していきます。その果て、主人公の口から発せられた研究者の在り方を読んで、プラトンの洞窟の比喩を連想するとともに、仮にその研究者像がその通りだったとしても、今度はその灯した火が誰のものか(誰が最初に灯したのか)をめぐって争いが起こるのでは?と考えてしまいました。

 「魔道の書」はタイトル通り、魔道書を探すことになるお話。

 ここでは展開自体に触れませんが、話数の最後に本を探す人が求めているものに言及されます。でも、それが読者の信じているものだったとして、この話数の中で魔道書の持ち主が書きこんだ内容を考えると、そこに待っているのは幻滅のように思えて暗澹とした気持ちになります。それはニセモノをつかませられるからであって、真正のホンモノであればそんなこともないのでしょうか。