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加藤元浩『C.M.B.』29巻 講談社

マンガの感想

 この巻には「プラクルアン」「被害者、加害者、目撃者」「椿屋敷」「自白」が収録されています。

 一番身につまされたのは「プラクルアン」でした。

 亡くなった大富豪の遺物の中から出てきたタイのお守りプラクルアン。遺族たちはそれを貴重品だと思いますが、何の変哲もない普通の品物でした。では、その大富豪はなぜ大切にそれを持っていたのか。謎を解くため主人公たちは現地へ飛びます。

 話数の最後に謎は解き明かされます。プラクルアンはお守り。悪霊を避けるために持っていても会ってしまう時は遭ってしまう。悪霊に対抗する術は実はプラクルアンではなく、その持ち主自身の中にあったのではないのかな、と思います。

 そして、現実の自分の生活を振り返ってみると、プラクルアンを見つけて得るのに奔走していて、自分が悪霊の術中にはまっているのかどうか判断することさえ放棄している、いや、本当は術中にはまっているのに薄々気づいているのに保身のために気づいていないフリをしているのではないかと考えさせられます。

 きっとお守りがしてくれるのは悪いものを避ける段階まで、遭遇してしまったなら自分自身で立ち向かわなくてはいけない。

 「お前が逃げるからだ/自分の妄想の中に!」(「自白」)

 殺人の嫌疑がかけられた登場人物は自分は無実だと信じながらも自白をしてしまいます。彼はなぜやってもいない罪を認めたのか。

 悪霊に堕落させられているのをプラクルアンを持っていないせいにしている自分の姿が自分は悪くないと思いながらも罪を認める被疑者の姿に重なってきます。