スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ『アフガン帰還兵の証言』日本経済新聞社

 「私たちが国を出たときはこの戦争は国にとって必要でしたが、帰ってきたときには必要ではなくなっていたんです。」(p.212)

 アフガニスタンへ行って帰ってきた人たちの言葉が収録されている本でした。

 この本を読みながら色々な言葉を知りました。黒いチューリップ、亜鉛の棺、アフガニスタンへの派兵理由は「南の国境を守る」「国際主義」のため、など。

 「『政府が必要と考えるのなら派兵は必要なのだろう』と家の人は思った。父も近所の人もそうだった。」(p.27)

 この本(の基となった記事)が出る頃まで、アフガニスタンで実際に何が行われていたのか、起こっていたのか秘密にされていたそうです。この本で書かれているような「証言」が公にされることで、それまで英雄視されていた帰還者へのまなざしが変化する可能性に批判も出たそうです。実際、著者は名誉棄損で訴えられてもいたといいます。

 「もっともっときちんと話せば、どちらが始めたのかは後回し、考えてもみなかった。味方だけがかわいそうだった。」(p.164)

 帰還したソ連の人たちのインタビュー集なので同じ舞台で殺されて死んでいったアフガニスタンの人たちには焦点はあたりません。でも、惨たらしい死は双方に出ていた。

 こういった本を読んで言葉を書くと何故か嘘くさいものになってしまいます。同著者の別の本だったかもしれませんが、インタビュー相手からあなたの書く本が何の役に立つのかと再三問いかけられていました。似たようなことを考えます。このような本をどうして読むのか。正直に言って分かりません。いつか分かるのかもしれないと思って読んでいるのかもしれません。でも、そうやって本を読んでいる内に、自分の周りの現実の方がそういった事態になっている、そんな可能性もあります。

 「国民をあんなことに送り込む人はよほど国を嫌っている人です。」(p.42)