磯谷友紀『海とドリトル』1巻 講談社

 このマンガを読もうと思ったのは、『本屋の森のあかり』の著者である磯谷さんの新刊だったのと、内容が海洋生物学に関係するもののようで興味をひかれたためです。

 「全部おもしろいよ」(p.38)

 主人公である女子大生は富士山登山の途中で変な2人組に出会います。アンテナのようなものをかかげて何かを受信している。結論から言えば、生物にとりつけたデータロガーからの信号を受け取りやすいのが高地ということで、富士山で受信していたのでした。

 データロガーと聞いて私は即座に『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ』という佐藤克文さんの本を連想しました。データロガーとは、発信機のようなもので、動物に取り付ける(後に回収する)ことで、人間が普段は追っていけない生物の生態を知る助けになっているそうです。そして、そういった研究手法をバイオロギングと言ったはずです。

 『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ』を知った頃は、バイオロギング自体を扱った一般向けの本はあまりなかった記憶があるのですが、今では京都通信社の『バイオロギング』、成山堂書店の極地研ライブラリーシリーズの『バイオロギング』、そして題名からは分かりづらいのですが、渡辺佑基さんの『ペンギンが教えてくれた物理のはなし』(河出書房新社:河出ブックス)など、増えているようです。

 『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ』の話を続けて恐縮ですが、その中で、ある動物の親のカメラに子どもが映っていることから、水中で親が子どもを気にかけて振り返っていることが分かった(もしかしたら記憶違いかもしれませんが)、というくだりがあったような気がします。

 『海とドリトル』でも、院生の報告シーンの中で、子どものクジラの画像が母親にとりつけたカメラに映っており、二頭が泳ぐ様子が分かるという箇所がありました。なので、ますます佐藤克文さんの影を感じながら読んでいったのですが、最後のあとがきのような部分で取材協力先として佐藤克文研究室が挙げられていて、やっぱりな、と思った次第です。

 「全部おもしろいよ」(p.38)

 が本当なのか、それとも、やっぱり辛い部分が多々あると感じさせる展開が待っているのか、それは分かりませんが海洋生物学の研究室、そして海洋生物学自体にも興味があるので次巻以降が楽しみです。