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スコット・ダグラス『どうか、お静かに:公立図書館ウラ話』文芸社

 「いったい誰が図書館スタッフの話なんか聞きたいんだよ?」(p.290)

 私だ。

 お前だったのか。

 暇を持て余した、

 神々の

 遊び。

 では、なくて。アメリカの公立図書館に勤める司書が書いたらしい、裏事情も分かるらしい、本。というわけで興味をひかれて読むことにしました。

 読んでいてヒヤヒヤする本でした。例えるなら、素性がバレていないと思っている人がSNSで炎上するかもしれない言動をしているのをROMっている感じです。

 「もちろんこれは実話だ―ほぼ、だけど。」(p.534)

 思っていても言ってはいけないこと、そういう風な言葉を使って(その立場では)言ってはいけないこと、というのはあると思うのです。寅さんではないのですが、「それを言っちゃおしめぇよ」というものが。

 「そんなある日、史上最悪なくそったれジジイに遭遇した。」(p.306)

 「僕ら図書館員がハッピーな気持ちになるお年寄りと、すぐにでもくたばっちまえと思うジジババについて」(p.356)

 他にも色々と類似の箇所はあるのですが、こういった表現を読んで危なっかしいなと思うのは、

 「決して口に出してはいけない。なぜなら政治的に正しくないからだ。」(p.442)

ポリティカル・コレクトネスにかぶれているからでしょうか。

 そういったノリの部分は引っかかったのですが、読んでいて考えさせられる箇所もいくつかありました。

 例えば、ティーンエイジャーとの攻防が描かれている場面。その地域の治安や荒れ具合が図書館の対利用者面でのハードさに関係していることが窺われます。学校でもそうですね。やっぱり暴力の影が強い環境で渡り合っていくのはしんどいと思います。

 さらに、アメリカなので、仮に利用者に脅迫された時に銃で襲われることへのリアリティが全然違う。著者の念頭に撃たれるという選択肢が普通にあることが衝撃的でした。

 「僕は本が好きだから司書になった。だがこの仕事を長くすればするほど、本のために続けているのではないことがわかった。僕は人のためにここにいる。」(p.310)

 「単に毎日職場に通って仕事をこなすだけだったら、とても職務を全うしているとは思えなかった。」(p.304)

 最初の方で、この本から著者のイキがっている若者っぽさを感じるかのように書いてしまったのですが、時折頭に来ることがあって汚い言葉を使ってしまうこともあるけれど、結局、フツーに真面目な人なんだろうな、と感じました。

 「昔の図書館が重要なのは、当時の図書館が現在の図書館を形作っているからだ。当時の図書館が無ければ、今の僕の仕事だってない。」(p.68)

 可もなく不可もなく、スルっと読めてしまう本でした。ただ、本に関するお話はあまりない本でした。