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藤井太洋『オービタル・クラウド』早川書房

この本を読もうと思ったのは、あるブログの記事を読んだためです。
「その計画は"残されたる者たちの大跳躍"というのだそうだ。いい言葉だな。」(p.395)
「オービタル・クラウド」という装置を使う陣営が仕掛けるテロは「残されたる者たちの大跳躍」と名付けられています。大跳躍には「グレート・リープ」とルビがふられています。
「名前だけですけどね。内容は、初めて聞きました。くだらないですね」(p.387)
ある人にとっては未来を感じさせるキャッチフレーズが別の人にとっては陳腐なもの、模倣による劣化版しか予感させない。
「アームストロング船長の言葉にアップルのコピーを混ぜた、いいフレーズだ。」(p.386)
計画名自体が既にあるもののパロディである時点で、それまでの多くのものに依拠してしまっている。
何かを変えたい、既存の秩序の転覆を狙ってみても、今、現にあるものの軛からは逃れられないのではないか、でもそこで新しいものを作れてしまう存在は確かにあって、それって何なんだろうと考えさせられた本でした。
「驚きましたよ。トロイの木馬をインストールさせるためにヒット商品を自分で作ってしまうなんて・・・。」(p.346)