大崎梢『クローバー・レイン』ポプラ社

「本を作る側の人間になるとは思ってもみませんでした」(p.104)
主人公は老舗出版社の編集者。旬を過ぎた作家の素晴らしい原稿を成り行きで読んでしまい出版するために奔走する、というのがお話の筋です。
いい原稿でも著者が時流に乗っていなければセールスは見込めない。販促にコストをかけるという判断を出版社の上層部はくださない。一冊の本を作る過程が垣間見えて面白かったです。
「夜間中学校が舞台だからって、明かりの灯る夜の校舎を写したら、ルポルタージュに思えてしまう。」(p.205)
特に印象的だったのは装丁について主人公が自社の営業と会話しているシーン。この『クローバー・レイン』の表紙を見てノンフィクションだと思うことはあまりないと思います。同じように装丁を見て小説・ノンフィクション・学術書など大体判断ができるようになっている気がします。普段何気なく本を見ていますが装丁が中身を主張している部分もあるのだな、とハッとしました。