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一色伸幸『配達されたい私たち』小学館

「あなたを利用して自身に酔っている。書くことが目的だったのだから、読まれることに意味はない。届けておいて言うのも変ですが、その手紙は忘れていいものです」(pp.49-50)
自殺を考える男性が場所に選んだ廃墟で見つけた未配達の手紙たち。男性はそれを配達し終える時を自殺の時に設定します。
本を選んで読むときに私は頭のどこかでどうしてこの本を選んだのだろう、と考えています。この本の場合、配達という言葉が東浩紀さんの郵便的不安という言葉を連想させて更に誤配ということにつながり興味をひかれたのだと思います。
書くこと自体が目的で自分のために書いているのなら、届けられる相手は誰でもいいのかもしれない。誰にも届けられなくてもいいのかもしれない。このブログも似たようなものかも。
「三十二歳は、もう生徒ではなく、道は自分で決めるしかない。」(p.113)
届けて欲しいと投函するのではなく、道を歩いて直接相手に告げに行く必要もあると思った本でした。きっとできないだろうけれど。