今野晴貴『ブラック企業ビジネス』朝日新書

この本を読もうと思ったのは『ブラック企業』を書かれた著者の本だったためです。
正直なことを言うと『ブラック企業』が話題になった後、何冊か本を出されていてよくある同じような内容を出版社を変えて出しているんじゃないのかな、という先入観があって見すごしていました。
でも、読めば分かるのですが、『ブラック企業ビジネス』は『ブラック企業』の二番煎じではなく、『ブラック企業』で触れられていたブラック企業側につく弁護士・社労士、いわゆるブラック士業について掘り下げて書かれていて、『ブラック企業』の続編・発展系として読んでいて面白いものでした。
この本が面白いのは、ブラック企業側につく弁護士・社労士が必ずしもブラック企業の「味方」ではないことを示しているためです。ブラック企業の労使間交渉に介入する弁護士・社労士はその対立図式から収益を得ているため対立がなくなってしまうと飯のタネがなくなる。そこで対立をあおるように働きかける。
この本は更に弁護士がそういったブラック企業ビジネスに手を染める背景についても考察しています。
「司法制度改革によって、確かに法曹人口は拡大した。『法務ビジネス』も広がった。だが、その結果もたらされたのは、若手弁護士の貧困化と、それを使い捨てるようにして荒稼ぎする『ビジネス』である。」(pp.188-9)
2009年の国税庁の統計として東京を拠点とする弁護士の3割が年収70万以下など引かれていますが、そうやって語られる「弁護士の貧困化」は個人的にとても印象に残るものでした。
今野さんの他の本も読んでみようと思いました。