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横田増生『ユニクロ帝国の光と影』文藝春秋

この本を読もうと思ったのは、最近ブラック企業という言葉に関連してユニクロの名前を見ることが多かったのとこの本の書評を朝日新聞山形浩生さんが以前書かれていたのですが、その印象が強かったためです。
「柳井さんは一緒に働きやすいという経営者ではありません。柳井さんのやり方は、一緒に働く人を壊しますよね」(p.113)
件の書評では、ユニクロの従業員に優しくない面を示そうというのがこの本の意図だろうに、示してしまっているのは酷さではなくて、成功する経営の素晴らしさの方で、皮肉な事態になっている、というようなことが書かれていたと記憶しています。
ユニクロにはオリジナルのコンセプトというものがない。(略)ユニクロで働いているときは、いつも”一流のニセモノ”を作っているという気持ちから逃れることができなかった。」(p.56)
多分、会社の存続や成長といった経営の面ではユニクロは素晴らしいのだろうけれど、店舗の売り場は消費者からみたらどういう評価なのだろう、と素朴に思いました。
私は洋服に興味がほとんどないのでよく分からないのですが、品揃えがいいと言われたり、お客さんの評判がいい書店が経営のやり方で言えばマズい場合もあるように思えて、アパレルでも同じようなことはないのでしょうか。経営が抜群に素晴らしくても、売場で提供されているものがそこまで素晴らしくないという可能性は。
売上がたっているということは商品が売れているということで、消費者に支持されている、だからいい売場なのだ、と言うこともできるかもしれないのですがどうなのだろう、と素朴に思います。
どういう会社(経営組織)を作ってどう成長させていくのか、といったことへの関心は感じられたのですが、柳井さんはその組織がユーザーに提供するものについてどういった思いを持っているのだろうと考えてしまいました。