S.I.ハヤカワ『思考と行動における言語』岩波書店

この本を読もうと思ったのは、何かの拍子にポライトネスという言葉に遭遇して関係する文献を探しているうちに偶然知って面白そうだなと思ったためです。
「きわめて現実的な意味において、良い文学を読んだ人々は、読めない人々、読もうとしない人々よりも、より多く人生を生きたことになる。」(p.138)
この本は一般言語学の入門書ということなのですが、読んで心に残ったのはある言語を使うことや読むことに含まれる継承のような側面でした。
「隠喩は言語の『飾り』ではなく、価値判断(evaluations)の直接の表現で、われわれが強い感じを表現したい時にいつも起こる。」(p.123)
「外国人と話していて、しばしば、話を止めて説明をしなければならないようなとき、われわれが日常会話でいかに多く引喩に頼っているかを痛感することがある。」(p.130)
ある言語が使えるということは、その言語にまつわって当たり前な前提も自分のものになっているということで、言語がなくなるということは、その諸々も芋づる式になくなることなのだろうな、と改めて思わせられました。
安易な(勝手な)アナロジーは良くないかと思うのですが、「個体発生は系統発生を繰り返す」という表現の印象に近い雰囲気で言語の中にはそれまでの歴史が流れているような感じがしました。