マーカス・ウォールセン『バイオパンク』NHK出版

この本を読もうと思ったのは、ガレージで遺伝子工学ができるようになっていると聞いて興味を持ったためです。副題は「DIY科学者たちのDNAハック!」となっています。
「病原体を死滅させる方法を見つけられるのなら、それをつくり出す方法も見つけられるだろう」(p.18)
この本を読みながら連想してしまったのが、サリン事件のことでした。ガレージで遺伝子工学ができるのなら、それを悪いことに使おうとしても簡単にできてしまうのではないか。
「バイオハッカー側は、たとえ自分は善玉でも、どこかの悪玉がバイオテロを起こすことは理論上ありうると認識している。」(p.243)
この本に登場するバイオハッカーたちは皆、善玉のように感じられるので、技術や知識がオープン(廉価になって利用する際の垣根が低くなるなど)になることで病気を治したりするなど明るい未来へつながっていくように感じられます。
「生物学は、私たちのだれもが経験したことのある身近な恐れに直結している。」(p.257)
でも、やっぱり怖さも感じてしまいます。
科学リテラシーは科学教育とは違います。科学の教育を受けた人は科学を理解できるでしょうが、科学の読み書きができる人は科学することができるのです」(p.68)
この本を読みながらもうひとつ思い出したのが昔観たあるTV番組のことでした。
その番組では大学の市民向け公開講座で化学を市井の人にも広めようという流れが扱われていました。取材対象となっていたのはある主婦の方で、身近なことということでお米の研ぎ汁の汚染度を調べていました。その番組をみていて、私の目にはしんどそうに見えました。公開講座の講義を受けているのですが、基本的な知識がないので辛いということで図書館から化学の入門書を借りてきて読んでいる姿が映っていました。
自分だったらどうかなと考えました。率直に言って科学リテラシーをつけるのはしんどいなと思います。