読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

たなかのか『すみっこの空さん』3巻 マッグガーデン

『すみっこの空さん』というマンガの3巻目を読みました。
「チシキのチリの中にチッキョしていても宇宙の秘密をチシツすることはできない」(p.67)
この巻で特に印象に残ったのは「ことば」という話数です。辞書を捨てようとする女子高生に主人公の少女(空さん)はこう言います。
「こんなにたくさんのことばをつかい切ったんだね」(p.59)
べつの「そうぞう」という話数にはこうあります。
「物を捨てる時は潔く 一片の未練も残してはいけない」(p.54)
「こどく」という話数で空さんはさみしさの理由を感じています。
「おちているものは大きなぜんたいからはぐれてひとりぼっちのものだから」(p.17)
辞書を捨てようとした女子高生は放送部への入部理由を「あなたの言葉はちゃんと 自分の心を表現したものかしら?」(p.64)と質されていました。
落し物のなかには落とし主の心はきっとあまり含まれていない。でも、捨てられるものの中には捨てる人の心が何かしらのカタチで表れている。だからこそ、潔く未練を残さないという選択の余地が入り込むのだと思います。
女子高生の動機を問いただした先生には、その言葉が落し物のようにみえたのかもしれない。
以前、expressをex-(外へ)press(押し出す)と説明している人がいました。捨てているようでありながら、実は落としているだけのようなものにさみしさがつきまとうとしたら、表現しているようでありながら落としているだけのことばもまたさみしいものなのかもしれません。
「知識の塵の中に蟄居していても宇宙の秘密を知悉することはできない」(p.71)