鈴木康広『まばたきとはばたき』青幻舎

この本を読もうと思ったのは、鈴木康広さんの作品集だったためです。

鈴木康広さんが以前、トップランナーという番組に出演されているのを観ました。その時に紹介されていた作品の中でファスナーの船を見たとき、衝撃が走りました。著書や作品集を探したのですが、当時は出ておらず今回出先の書店でこの本を見つけて読んでみました。

読みながら2つのことを思いました。ひとつは、どうしてこんなことに気づけるのだろうということ。もうひとつは、その気づきを作品として形にできる手段・方法・能力はどこで身に付けたのだろう、ということです。

よいデザインとは、使う人や見る人に説明しなくてもその用途や使い方が伝わるものだという考えを聞いたことがあります。鈴木さんの作品を見ていると、鈴木さんが気づいたことがどういったものなのか、言葉や説明がなくても直感的に伝わってくるように感じます。そんな風に作品を作れることをすごいことだと感じます。

また、面白いのは、最初の気づきでとどまるのではなく、作品としてカタチにする中でその気づきが更に広がっていくことです。気づいた当初は思ってもみなかった展開、次の気づきに制作の中で出会う。とてもおもしろことのように思います。

文章は少ない本ですが、最初から最後まで楽しめる本でした。最後に近づくにつれて、もうこの本の中では鈴木さんの新しい作品、気づきに触れることができなくなるのだと思いさみしい感じがしました。