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丸山正樹『デフ・ヴォイス』文藝春秋

この本を読もうと思ったのは、本屋さんの店頭で見かけて題名が気になったためです。
主人公は生活のために手話通訳士になった男性。法廷通訳を依頼されたり警察で事務をしていた経歴から、ある事件を追っていくことになります。
「自白調書はもうできてるから、あんたには読み聞かせだけしてもらえばいいから」(p.70)
松本清張賞最終候補作、とのことですが、ミステリやサスペンスとしてよりも、ろう者・聴者・コーダといった人たちの間に生じる文化の軋轢を描いたものとして読んでしまいました。
「ああ、あなたは聴こえるのね。そこには、一握りの羨望とともに、落胆と拒絶の色が宿る。」(p.129)
自分たちと同じ、自分たちの「仲間」だと思っていた人に「違い」があることを知ってしまった後に生じる関係の変化。二分法によって生じる問題が描かれていました。
「〈おじさんは、私たちの味方?それとも敵?〉」(p.78)