A・コルバン『感性の歴史家アラン・コルバン』藤原書店

この本を読もうと思ったのは、最近、「記憶の場」という言葉を思うことが度々あって、そこからピエール・ノラという名前を連想して更にフランス→アナール→アラン・コルバン、という風に連想がつながってしまってこの本のことを思い出したためです。
「適切な態度とは、あることがあるときに話題になった以上、いったいその話は何を意味しているのか、何を象徴しているのか、と考えていみることです。」(p.129)
コルバンさんの来歴や著書についてジル・ウレさんと対談された内容が収録された本でした。読んでいて、コルバンさんの考え方が社会学の言説分析と通じているように感じました。と、同時に同じような危うさももつんじゃないのかな、とも思いました。
「難しいのは、感じられていないことと言われていないこととを混同してはならないということです。」(p.106)
言われていないからといって感じられていないとは限らない、とすると、逆に言われていても感じられていない、という事態も認めてしまうように思えて、そうすると、書かれたものを相手にする研究の場合、その研究が相手にしているものの確かさが揺らいでいくように感じます。ちょうどフィクションを資料にする場合と同じように。
「虚構の文献は実践のモデルになることはできますが、信憑性の枠を超えてほんとうの意味での実践の証拠になることはけっしてありません。」(p.68)