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伊吹有喜『風待ちのひと』ポプラ社

この本を読もうと思ったのは、『四十九日のレシピ』がおもしろかったためです。
「そう。楽園の住人はいつも海の向こうから」(p.165)
読んでいて、『四十九日のレシピ』との共通点のようなものをずっと気にしていました。伊吹さんのテーマのように感じられたためです。『四十九日のレシピ』では、川をはさんで此方と彼岸がこの世とあの世の隠喩のように使われていましたが、『風待ちのひと』でも、海のこちらと向こうにこの世とあの世が対置されているようで、水をはさんで生と死が布置される、というのは遍く存在するパターンなのかもしれないのですが、まるで伊吹さんが川や海を目にするたびに「こちら/あちら」を感じられる方のように思えて印象的です。
「生むだけが家族じゃないだろう。添い遂げるというのも家族のひとつの形だよ」(p.277)
四十九日のレシピ』の主人公たちの「家族」も血のつながりではないものでした。そんな「家族」に対する考え方が『風待ちのひと』でも表れていたりして、これもまた伊吹さんのテーマなのかな、と思います。

作品に表れる考え方や想いや信条などが著者と関係ない、ということはあるのだけれど。