吉田秋生『帰れないふたり』小学館

『帰れないふたり』というマンガを読みました。「海街diary」シリーズの4作目です。「帰れないふたり」「ヒマラヤの鶴」「聖夜に星降る」「おいしい ごはん」が収録されています。

「かえれない あなたに 想い出はそっと胸に秘めておくもの」(辛島美登里『あなたにかえれない』)

表題作「帰れないふたり」では、主人公である女の子が姉と恋人の後をつけていきます。追跡を行っているのが彼女と同級生の男の子なので、追いかけていて帰れない二人なのですが、つけられている方の姉カップルは道ならぬ関係の二人で抽象的な意味合いでの「帰れない」ふたりのように見えてきます。
「おいしい ごはん」では、その時、その材料、その状況で神がかり的にできてしまったおいしいごはんに触れられています。本当は、同じごはんは変わらず同じなのかもしれない。それをおいしくしているのは、自分の側の違いかもしれない。料理として同じものが存在すれば、いつでもそのおいしさを感じる場所へと帰れるように思っているのかもしれないけれど、同じ自分、同じ関係のふたりに戻ることができないとしたら、既にそれは再び味わうことのできないおいしさなのかもしれません。

いつでも帰れる、そう思い込んでいるだけで、すべては常に帰れないものになっていってしまっているのでは、とぼんやりした巻でした。