羽海野チカ『3月のライオン』6巻 白泉社

3月のライオン』というマンガの6巻目を読みました。
先日、羽海野チカさんの短編集『スピカ』を読みました。収録されていたお話を読みながら感じたのは、羽海野さんの中で一つの道に邁進する人、なにか一つの事に魅入られてしまった人、というのがテーマとしてあるんじゃないのかな、ということでした。
「正義なんてどーでもいいから 逃げて欲しかったって」
自分が傷ついたり、ひどい目にあってしまうことを予想できるのにその道を進む人のことが心配になることはあると思います。その人のことが大切なら大切なだけ、できればそんな道は歩んでほしくない、と思ってもしまうかもしれない。
「ここにあるものは楽しい子供時代なんて平気でかなぐり捨てた一人の人間の棋譜だった」
このマンガで描かれている、ある少年棋士についても同じように考えてしまうかもしれない。そんなに辛い思いをするのなら、自分の命まで縮めてしまうかもしれないのなら、逃げて欲しい、と。
でも、そういう想いは多分、本人のことを省いてしまっている。作中、いじめにあっている少女がそれでも修学旅行に参加しているように、立ち向かおうとする本人の意思を馬鹿なものだとして単純に嘲笑するようにだけはなりたくないな、と思います。

「もし彼がどんな人物であったかお知りになりたければ、どうぞ棋譜を読んで下さい。そこにすべてのことが書かれています。」(小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』文藝春秋 pp.358-9)
そして、その本人のことを最もよく表しているものを「読める」ようだったらな、とも思います。