末吉暁子『黒ばらさんの魔法の旅だち』偕成社

この本を読もうと思ったのは、吉野万理子さんの『想い出あずかります』を読んでいるうちに黒ばらさんのことを思い出してしまったためです。黒ばらさん、あの後どんな風な人生なのかな、と。
「魔法や魔術をあつかうものが、自分の無力さをさとるときほどつらいものはありません。」(p.76)
私が黒ばらさんを好きなのは、自分の人生に哀しみを感じているようなのに、湿っぽくなくて、それをちゃんと受け止めて生きているように見えるためです。ドライに割り切っているわけではないのですが、自分の哀しみは哀しみとして、人生の中で関わる人への態度としてマイナスの影響は与えない態度というか。
「このまま自分は、舟にだれかをのせることもなく、つぎのこぎ手があらわれることもなく、永久にひとりぼっちで舟をこぎつづけなければならないのかしら・・・。」(『黒ばらさんの七つの魔法』p.233)
前の本でこんな風にも感じていましたが、それでも、関わる人とはちゃんと関わっていて、それがこの本の中での「失踪事件」の解決につながっているように感じられます。