駒尺喜美『紫式部のメッセージ』朝日選書

この本を読もうと思ったのは、何かの本で言及されていて興味を持っていたのと、最近、田辺聖子さんの『われにやさしき人多かりき』を読んで『源氏物語』のことが気になってきたためです。
「『源氏物語』を華やかな恋物語と読みちがえてしまうような、男性主体の発想に立てば、自由な恋と見えてしまうだろうが、その多くは男性側の自由である。そして、見てきたように、多くの場合強姦なのである。」(p.202)
この本を読んでいて、高校生だった頃の古文の授業風景が一変しました。どの部分が教科書に採られていたのか忘れてしまいましたが、『源氏物語』も収録されていたはずで、それを授業として読んでいたときにお話で触れられている性愛への距離感と、生徒であった私たちが文章の表面から感じるそれとは大きな隔たりがあったように感じて、各人の恋愛経験によって、別の違った何かを受け取っていた同級生もいたかもしれないけれど、うまく言えないのですが、「古文」や「授業」、広く学校教育といった時に自然と規定されてしまうルールのようなものと、教材として扱われている物語の齟齬が無自覚なまま存在していたように思えて、高校の「授業」として『源氏物語』を読んでいる光景がとてもシュールなものに感じられてきました。
この本の内容は、『源氏物語』の研究者にどんな風に受容されたのだろう、と気になりました。