ヤンソン『ムーミン谷の彗星』講談社文庫

この本を読もうと思ったのは、あるブログの記事を読んだためです。この記事を読むと、大好きな人の背中に星のシールをぺたぺたぺた、と貼りたくなってきます。それはともかく、初ムーミンでした。
「もし、命づなをからだにまきつけていなかったら、この世の中から、ムーミントロールが一ぴき、すくなくなってしまったことでしょうね。」(p.105)
読んでいて驚いたのが、死との距離がとても近く感じられたことでした。今まで、ムーミンのお話は全然知らなかったのですが、あったかいというかほのぼのというか、そういうイメージを勝手に持っていました。なので、このお話から感じられる一歩間違えば即、死、というか生と死の境はふつうに思っているよりずっと薄くて近いものだという雰囲気に戸惑いました。
その点に関して山室静さんという方が「附記」の中で、この本の雰囲気が以後のムーミンシリーズと違っているとして、その理由をヤンソンさんの若さとフィンランドの世情の反映に求めています。
「黒い夜空を、ひとりでもえながらとんでいる彗星のことなど、考えるものは、だれもいませんでした。」(p.151)
そうだとすると、ヤンソンさんにとっての彗星は何だったのだろう、とぼーっと考えてしまいます。