田辺聖子『われにやさしき人多かりき』集英社

この本を読もうと思ったのは、あるブログの記事 を読んだためです。田辺聖子さんの全集に収録されていた自作解説を再編集したものでした。
「中年を生きるには実にしんどい時代です。私は誠実、真剣に生きているすべての中年の人々に、この作品を捧げたい」(p.45)
西野カナさんという歌手がいます。彼女の紹介を初めて聞いたとき「女子中高生の圧倒的な支持」という形容が使われていました。彼女の歌がその年代の子たちの共感を得て人気があるのだとしたら、他の年代の人たちの共感を得る、というよりも代弁するような歌や音楽はあるのかな、と素朴に考えました。翻って、小説でもいろんな年代のためのお話ってあるのかな、と思いました。その時の記憶があったので、田辺さんの言葉を読んで、田辺さんはきちんと自分がすくいあげようとしているものを作品にされる方なんだなと感じて、実際に作品を読みたくなってきます。ちなみに、『愛してよろしいですか?』は高校生の頃に読んだのですが、分からなかっただろうな、と思います。
「彼女らは結婚すべかりし相手を戦争に奪われたのだ。」(p.349)
こんな風に物事を捉える目を持っている人の小説は、やっぱり読みたくなってきます。