北山猛邦『私たちが星座を盗んだ理由』講談社

この本を読もうと思ったのは、題名がずっと気になっていたためです。短編集で以下のお話が収録されています。「恋煩い」「妖精の学校」「嘘つき紳士」「終の童話」「私たちが星座を盗んだ理由」。
「恋煩い」と表題作「私たちが星座を盗んだ理由」が好きでした。
「私も姉のように病気になれば、みんなが自分を大事にしてくれるのではないかと思ったこともある。」(「私たちが星座を盗んだ理由」p.220)
多分、姉は姉の方で健康な妹のことを羨ましく思っている部分があったのだと思います。お互いがお互いをそれとは知らないまま羨んでいる関係は哀しい感じがします。はっきりと言葉に出して羨ましい、と言ってしまえれば、少しは変わるのかもしれないけれど。
でも、そんな妬ましい相手でも憎しみに支配されているかというとそうでもなくて、羨ましくても好きだったり大切に想っていたりして。その気持ちもまた伝わりにくいものだけれど。
「姉の短冊を覗き込むと、すでにそこには難しい漢字で願いが書かれていた。」(「私たちが星座を盗んだ理由」p.219)
私は、病気をした/している人がやさしくなる、という考え方があまり好きではありません。でも、このお話で姉が七夕に願ったことのように、他の人たちや世の中のことを想ってしまう気持ちはよく分かって、哀しくなるとともに、そんな想いが周りの人に誤解なく伝わればいいのにな、と思ってしまいます。