リチャード・ドーキンス『盲目の時計職人』早川書房

この本を読もうと思ったのは、『不可能、不確定、不完全』の注の中で著者さんが熱く薦めていた本の一冊だったためです。
「『デザイナー』は、意識をもたない自然淘汰、盲目の時計職人なのだ。」(p.74)
読みながら私が考えていたのはミルズの動機の語彙論のことでした。人が動機を表明するとき、本当の動機を語っているというよりは、受け容れられる動機を選んでいる、というような考えなのですが、動機を生命に、動機を受け入れる社会を環境に入れ替えれば、進化における突然変異と自然淘汰の関係は同じようにあてはまるのではないのかな、と思います。
「ランダムなのは突然変異であって、自然淘汰はランダムとは正反対なものだ。」(p.81)
動機の語彙論を受け入れるとして、語られる動機は通時的には変化を被っていて、それはどうしてなのだろう、と素朴に思いますし、納得される動機を選んでいる、としたら、「納得される」ということを動機を表明する人は予めどうやって知るのだろう、とも思います。
動機の変化が説得力という点で有利かどうかについてランダムな突然変異のようなもので、納得されるかどうかが自然淘汰ように働いているとしたら、お話は分かりやすくなるのかな、と考えたりしました。