蔵本由紀『非線形科学』集英社新書

この本を読もうと思ったのは、この本が出た当時、結構話題になったことは知っていて、でも読んでなくて、最近、個人的に複雑系(に関する本)に興味がまた出てきて、関係する人の名前や本のことが分かるかな、と期待したためです。
「先の読めない物語でも 行ける未来は ただひとつ」(熊木杏里『一千一秒』)
前に、TVで学者さんがカオスについて、予測できないけれど決定論なんです、と説明していたのがとても印象に残っています。
「ミクロ世界を操って一見エントロピーを減少させることができたように見えても、操る操作そのものが、減少分を上まわるエントロピーをどこかに生み出しているのです。」(p.32)
今、別に『自己組織化と進化の論理』という本も読んでいるのですが、それを読んでいても感じるのが、複雑系に関する話題の中から窺える人生観の前向きさです。
「始めと終わりがあるなら、その間に何かがあったということになる。」(北村薫『盤上の敵』講談社文庫p.163)
先が読めなくて、予測不能なのに、結果は決まっている。そうだとすれば、その過程はあってもなくても同じものなのかもしれない。そんな虚無感に至りそうですが、エントロピーが増大するように、何かがあったということになる、のなら、人生には意味がある、という風に考えることもできそうです。
例によって、言われていることの大半は理解できなかったけれど、研究している方々をそんな視点に誘うもののように思えて、この手の話題への興味はますます湧いてきます。
非線形科学というものを『生きた自然に格別の関心を寄せる数理的な科学』とみなしてはどうかと思います。」(p.18)