ベン・マイケルセン『スピリットベアにふれた島』すずき出版

この本を読もうと思ったのも、読書感想文コンクールの課題図書だったためです(中学校の部)。
同級生に後遺症が残るほどの暴行をはたらいた主人公がサークル・ジャスティス(修復的司法)によって「成長する」姿が描かれているお話です。
「成長する」と括弧付きで書いてしまうのは、被害者に残る傷や、被害者に加害者を赦すことを求めてしまうのではないか、ということをどうしても気にしてしまうためです。
主人公の少年は、スピリットベアという熊との邂逅である状態に陥るのですが、それさえも、加害者と被害者のバランスをとるための展開ではないのか、と感じてしまう自分がいて疲れてしまいます。
何年か前の課題図書でポール・フライシュマンという人の『風をつぐむ少年』という本があったと思うのですが、それを何故か思い出してしまいました。
本の中で悲しんでいる人を知ると、その人の経験を通して自分自身も経験しているように感じて、本のいい部分は、実際に悲しみにあわなくても悲しみを知る(知った気になれる、少なくとも想像するよすがにはなる)点かな、と思うこともあるのですが、この本での少年のイラツキや暴力衝動を読んでいると、他人を傷つけるというひどいことも、同じように実際に行うことなく知ることができるんだな、と思いました。