栗木京子『夏のうしろ』短歌研究社

この本を読もうと思ったのは、『短歌をつくろう』の語り口がとてもよくて、栗木さんご自身の歌が気になったためです。歌集でした。
「逢へぬまま帰るゆふぐれ縫ひ付けし布のごとくに心ぶらさげ」(p.121)
ネットや携帯など技術が発達して、相手のアドレスも知っていて、会おうと思えば会えないことなんてないかのような状況でも、会えない、ということは起こりえて、もともと会えなければそれはそれでいいと思っていたからかもしれないけれど、気持ちが宙ぶらりんな感じがしたりして、といった気持ちを連想します。
「ゆふぐれの神社は怖しかさぶたのごとくに絵馬の願ひ事あふれ」(p.153)
歌を詠んだときの栗木さんの心の揺れとその歌を読んで私が感じることは別物ですが、七夕の願いが書かれた短冊が笹にたくさん吊るされている様子も場合によっては同じような怖さを感じさせるように思えて、モノを見てそういう風に感じてしまうことってあるな、と思いました。