長野まゆみ『野川』河出書房新社

この本を読もうと思ったのも、今年の読書感想文コンクールの課題図書っぽかったためです(高校の部)。
「きっかけがつかめないだけだと思うんだ。翔べないと思いこんでるか、あきらめてるか」(p.67)
この本を読んでいるとき、頭の中で池田綾子さんの『飛べない鳥』という歌が何度も再生されていました。
主人公は両親が離婚してしまい、父についてきた男の子なのですが、彼が関わることとなった飛べない鳩と、自分自身との状態がシンクロしているようなお話になるのかな、と読みはじめたところで予断を持ってしまいました。
「先生がほめてくれるのは、先生自身が変わり者だからじゃないのかと、うたがっているんです。」(p.142)
自分のことを良く言ってくれる言葉のほうが、自分にとって都合がいいはずなのに、悪く言う言葉よりも受け入れにくいにはどうしてでしょうか。自信がないからだ、と簡単に言い切れるような理由なのかな。もしも、そうだとしたら、そういう自己肯定感が薄い状態は「翔べないと想いこんでる」状態かもしれなくて、やっぱりあの鳩の姿は男の子の鏡なのかもしれません。
余談ですが、私にとって長野まゆみさんには『少年アリス』というイメージが強いです。高校の頃、図書委員をしていたので、みんながどういう本を借りていっているか大体知っていました。逆に自分が読んでいる本の題名のことで他の図書委員(部活も同じだった子)からツッコミが入ったこともあったけど。で、文系女子長野まゆみさんは人気がありました。直接口をきいたこともない子たちが共通して読んでいる長野まゆみという著者はどんなお話を書くのだろう、と興味がありました。多分、高校生をひきつける要素があるんだろうな、とも思っていました。なので、今回高校の部の課題図書ということで、なんとなく納得してしまいました。
「今こそ 飛べない鳥 空へと」(池田綾子『飛べない鳥』)