本多孝好『WILL』集英社

「死者は何も言いません。この世に幽霊なんていないから。彼らを呼び出したのはあなたたちです。」(ホシノルリ
この本を読もうと思ったのは、葬儀屋さんが中心のお話ということで興味を持ったためです。
「無理に眠らせることはないのですよ」(p.44)
「誰の視線も気にすることはない。笑えるのなら、笑えばいいのだ。」(p.38)
人の死やお葬式の場面は、こうあるべきだとか、こうしなくてはいけないという縛りを強く感じられるものだと思います。そんなとき、自分が死んだ側だったら、残っている人に何を望むだろう、と考えたりします。
「知っていた。人がときとして簡単に、あっけないほど簡単にその一線を越えてしまうことを。」(p.217)
葬儀屋さんや人の死に関わる人はきっといろんな死を見ているのだと思います。死なないと思っている人があっけなく死んでしまうことがある。それは信じられないことで、でもその信じられないことが起きてしまうことを知っている人にとっては、おおげさだけれど、世の中はもっと儚く脆く感じられているのかもしれないな、と思いました。