ラス・カサス『インディアスの破壊についての簡潔な報告』岩波文庫

この本を読もうと思ったのは、高校生だった頃に世界史の時間にラス・カサスのことを習ったときに思ったことがそれとなく引っかかっていたためです。ラス・カサスはインディオを虐殺していく西洋人が怖くなかったのかな。彼らの非道を告発しようとして、逆に自分自身もその暴力の対象となるのでは、という恐怖はなかったのでしょうか。
「われわれがはじめてエスパニョーラ島に上陸した時、島には約三〇〇万人のインディオが暮していたが、今では僅か二〇〇人ぐらいしか生き残っていないのである。」(pp.19-20)
この本はスペイン国王にスペイン人たちが行っている虐殺を告発するものなのですが、今のようにネットも何もない時代にそういった情報が発せられてから相手に届くまでにかかる時間のことを考えると、その間に犠牲になる人たちが多くいることが気になってきて、はがゆい感じがします。おまけに、仮に情報が伝達されていくとしても、どこかでそれが握りつぶされてしまう可能性を考えると、告発というものも今と違った感覚で捉えられていたのかな、と思いました。
「この土地ではどこでも、インディオたちはキリスト教徒たちのことを彼らの言葉でヤレスと呼んでいますが、それは悪魔という意味であります。」(p.104)