七河迦南『七つの海を照らす星』東京創元社

この本を読もうと思ったのは、あるブログの記事を読んだためです。児童養護施設を舞台とした日常性のミステリの短編連作で以下の7つのお話しが収められています。「今は亡き星の光も」「滅びの指輪」「血文字の短冊」「夏期転住」「裏庭」「暗闇の天使」「七つの海を照らす星」。

「どんなに似て見えても、その子の苦しみはその子だけのもので、本当にはわからないのかもしれないけれど」(「七つの海を照らす星」p.287)

全般的に人間のやさしさがフューチャーされたお話しだったと思います。そして、そのやさしさには強さやたくましさが感じられて、人生に対する肯定をメッセージとして感じてしまいました。「今は亡き星の光も」で憎まれ役を引き受けた人たち、「裏庭」での思いやり、そして、特に「暗闇の天使」の正体。

「暗闇の天使」だって、世間の「普通」からは外されてしまった存在かもしれない。天使の正体を見えなくしていたものを考えたとき、それが明示されている「暗闇」ではないとしたら、「暗闇」という言葉で示されているのは世間のことになるのかもしれない。でも天使は、そこで世間に復讐するのではなくて、他の存在を守ろうとしていました。それは強さだと思います。

最終話「七つの海を照らす星」では、それまでのお話しに含まれていた「謎」に解答が与えられます。それを読んでしまうと、確かにそれまでのお話しを読み返したくなります。

人が何かを知っているとき、何かに必死になっているとき、何かを絶対避けようとしているとき、何かにこだわっているとき、そういった部分にはその人のそれまでという全体が表れているのかもしれない。それを知らずにその部分だけを見ていると、滑稽だったり理解できなかったりするかもしれない。

暗闇の中で天使の正体を見つめることができた探偵役たちのように、その人の本当の姿を見つめることができるようになれればいいのにな、と思います。そして、信じるべきときにその人のことを信じることができるといいのにな、とも思います。

「校長の言うことを信じて私を嘘つきだったんだって決めつけていたら私はおしまいだった。でも彼女は私を信じてくれたの。」(「七つの海を照らす星」p.279)