アレン・ネルソン『「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」』講談社

この本を読もうと思ったのは、以前どこかのブログで知って以来気になっていたためです。そのうち読もうリストに入っている間に文庫化されてしまいましたが。副題は「ベトナム帰還兵が語る『ほんとうの戦争』」となっています。

「ミスター・ネルソン」「あなたは、人を殺しましたか?」(p.22)

タイトルになっている言葉は、ネルソンさんが体験をはじめて話したときの相手である女の子から発せられた問いでした。

この本の中では、ネルソンさんたちがベトナム戦争中にベトナムで犯した残虐非道の数々が具体的な描写をともなって綴られています。

「この父親と母親は、自分の愛する息子がたった今、撃たれ、死んだことを知らないのだ」(p.123)

ネルソンさんが最後に殺した「敵」の死体を見たときに感じたこととして書かれています。

この本を読んだり、ネルソンさんの講演を聞いて戦争の悲惨さを知ったり、何かが大きく変わった人もいるかもしれません。そういった人がネルソンさんと出会えたのは、ネルソンさんがベトナム戦争を生き抜けたからで、じゃ、その人にとっては、ネルソンさんが殺した誰かの愛する息子はどうなるのだろう、とか、ネルソンさんが生きるために殺してきた多くの人はどうなるのだろう、とぼんやり考えてしまいます。

そんな風に考えると、私が今在るのは、太平洋戦争で祖父が誰かを殺したからかもしれないし、そうじゃないかもしれない。そこでそういった出来事が何もなかったとしても、もっと前の時代で自分に連なる人が誰かを殺すことによって今の自分が在るのかもしれない。

タイトルの「あなたは人を殺しましたか?」の部分が引っかかってくるのは、そういった風に感じる部分があって、自分に対する問いのようにも聞いてしまうからかもしれません。