千葉敦子『よく死ぬことは、よく生きることだ』文春文庫

この本を読もうと思ったのは、以前読んだ本で触れられていて興味を持ったらしくて、そのうち読もうリストに載っていたためです。

「病気にかかった人に『あなたの性格のせいだ』などというのは醜悪ではないだろうか。」(p.97)

「どんなに献身的な医師でも、患者本人以上に患者の身体に興味を持ち続けることはあり得ない。」(p.89)

著者である千葉さんはジャーナリストだったそうで、この本の単行本が出版された直後に亡くなられているそうです。乳がんにはじまってガンが度々再発した後のことだったそうです。それが1987年のことだそうなので今からもう20年以上前のことです。

この本は闘病のことや日本とアメリカのがん医療の違いなどがかかれた本でした。ハッとする言葉が書かれているとともに著者が強い人だと感じられて、その強い眼差しで見つめられたり批判されたりしていることがそれほど強くない人にとっては辛く響く面もあるように感じました。

そうやって強さを感じる理由のひとつに著者が文筆で自立してきたことがあるかもしれません。なので、自身の言葉を失ったことに対する記述がとても真実味を帯びたものとして迫ってきます。

「いま、声を失って、まさに茫然自失の状態にある。乳房を片方失ったこともあれば、頭髪を全部失ったこともあるけれど、声を失うこととは比較にならない。この深い喪失感から回復するのには、相当時間がかかりそうだ。」(p.283)