加藤元浩『C.M.B.』15巻 講談社

C.M.B.』というマンガの15巻目を読みました。この巻には「アリアドネの糸」「魚釣り」「スタン」「キルト」が収録されていました。

「物語は形を持たない でも時を越えて伝えられれば・・・・エネルギーを持ち始める」

アリアドネの糸」の中で主人公である少年は事の真相の肝をこんな風に言っています。私は逆の可能性ってないのかな、と思います。エネルギーを持っている物語が時を越えて伝えられる、という可能性です。

この巻で一番印象的だったのは、「キルト」でした。

「あれでいいよ お前よくやったよ」

キルト」の中で全てを「解決」へと導いた主人公は登場人物の一人にそう言われていました。

最近、大木彩乃さんを聴き返していて、『冷たい世界』という歌の歌い出しがこんな歌詞でした。

「嘘はつかない かといってすべて見せない」

キルト」のクライマックスで、主人公の少年に付き添っている登場人物がなぜか唐突な感じがして、あの場面は彼一人でもよかったのではないかと感じていたのですが、嘘をつかずに全てを見せないことが冷たい世界での出来事だとしたら、その傍らには「真実」を分けあってくれる他人がいなくては、冷たすぎるからだったのかな、と読み終わってぼーっと思います。

そう考えると、主人公のパートナー役の女の子は現場にいなかったのですが、電話越しに彼をねぎらうその表情は、彼女もまたその言葉にされなかった嘘を共有しているようにも見えて、二人の関係を象徴的に示しているのかな、と思ったりしました。