スーザン・ドウォーキン『地球最後の日のための種子』文藝春秋

この本を読もうと思ったのは、書店の新刊でタイトルを見て以来ずっと気になっていたためです。

「大きいか小さいか、過去か現在か、ここかあそこか、僕か君か、といった二者択一は、世界の遺伝的豊かさを損なう。すべては保全されなければならない。」(p.204)

この本を読んで思ったのが、ああ、ここにも闘っている人がいる、ということでした。

以前、加納朋子さんの『てるてるあした』を読んだときに、主人公の女の子がある登場人物に読書のよさについて諭されているシーンがありました。曰く、本を読むとここにも哀しんでいる人いると寂しさが減るといったような意味合いでした。

本を読むのは他にもいる哀しい人を知るためだけじゃなくて、闘っている人を知るためでもある、とぼーっと想ってしまう本でした。

この本はノルウェーにある「スヴァールバル種子貯蔵庫」(別名、地球最後の日のための貯蔵庫)をゴールとして、そこにたどり着くまでの種の保存を数人の科学者に焦点をあてて描いたものでした。

「幸運な偶然などをあてにするわけにはいかないと。何かを達成するには、働きかけが必要だ。広報活動が要る。」(p.198)

種、特に多様性保全された状態でのそれを守ることは、不慮の事態に備えることかもしれなくて、差し迫った危機のリアリティを感じさせなければ優先順位が低くなってしまうのかもしれない。実際、この本に登場する機関は予算を削減されていっていたようでした。自分が危ないと分かっているけど、多くの人がそれを認識できないときに、その危機に備えるためにその多くの人の協力を仰ぐには、その多くの人たちに分かってもらうように努力することが必要だと、ひしひしと感じてしまう内容でした。

「もし種が消えたら、食べ物が消える。そして君もね」(p.206)

以下に本の中で紹介されていたサイトへのリンクをはっておきます。

Seed Portal of the Svalbard Global Seed Vault

GRIN(=Germplasm Resources Information Network)

IWIS(=International Wheat Information System)