高橋ユリカ『キャンサー・ギフト』新潮社

この本を読もうと思ったのは、他の本で触れられていて興味を持ったためです。

タイトルをみると、ある言葉を思い出します。以前、アルバイト先の上司が言った言葉です。「病気をするとやさしくなれる(からいいじゃない)」。彼女が口に出したのは「やさしくなれる」の部分までで「からいいじゃない」の部分は私が勝手に頭の中で聞いてしまった言葉かもしれない。

この本のタイトルをみてガンになることのプラスの面をポジティブに謳っている本ではないのか、と少しだけ身構えてしまいます。何か病気になって、それまで気づけなかったことに気づけたり、変わった体験ができたとして、本人がそれを「よかったこと」と受け止めるのと、他人がそれを「よいものである」と判断するのは大きく異なるものだと思います。

なので、高橋さんがご自身の問題としてどう受け止めたかまでしか書かれていないのか、この問題は広くこう受け止めるべきである、まで書かれているのか、それを気にしながら読むこととなりました。この疑問の答えは簡潔に表れていました。

「そこから先は自分自身の問題である。」(p.175)