梅田望夫、飯吉透『ウェブで学ぶ』ちくま新書

この本を読もうと思ったのは、情報技術と教育の関係に興味があるためです。副題は「オープンエデュケーションと知の革命」となっていました。大学などの教育プログラムがネットで無料で公開されたりしている流れについて梅田さんと飯吉さんの対談が収録されている本でした。

「知や情報が全世界に普遍的に行きわたるのは絶対善」「情報の力によって個をエンパワーすることができれば、世界をより良い方向に変え得る」(p.37)

サーゲイ・ブリンさんという方の言葉として紹介されています。こういった理想主義的なというか、無茶苦茶前向きなというか、そういった言葉は、図書館の目的や存在理由とも通じるところがあるように感じられて惹かれるのですが、何故か危なっかしさも感じてしまいます。

感覚的に言えば、「Don't be evil」と言ってしまったときに、「Don't be evil」自体がevilじゃないのかどうかが問われないことに感じる違和感に似ているかもしれません。

「誰もオープンエデュケーションが万能で絶対だなんて言っていないのだから、もしそれが自分の主義・信条に合わない、役に立たないと思う人がいれば、攻撃せずに構わないでくれればいい」(p.108)

と、言われてもオープンエデュケーションを勧める側が「知や情報が全世界に普遍的に行きわたるのは絶対善」という考えを背景に持っているとするなら、主義・信条に合わないといってそこから離れている人を「善ではない」から転じて「悪である」として逆に攻撃するようにはならないのかな、と素朴に思います。

「『一生学び続ける時代』にあった様々な学習機会が、オープンエデュケーションによって得られる」(p.211)

読みながら、大学の教育をネットで無料で享受できることにワクワクしたのですが、生涯学習と言ったときに、そこで想定されているのが歳をとることに伴う右肩上がりの成長のようなもので、そこで必然的についてくる衰えのようなものを否定するように作用するように感じられたことを思い出してしまって、この本で語られている方向性は「善い」ものだと感じられる一方で、マイナス部分に対して楽観的すぎるんじゃないのかな、とも感じました。