フィリップ・プティ『マン・オン・ワイヤー』白揚社

この本を読もうと思ったのは、あるブログの記事を読んだためです。

「その瞬間、タワーは『私のタワー』になる。」(p.20)

今はなきワールド・トレード・センターの間に綱を渡してその上を行ったりきたりした人のお話しでした。本人の回顧録、なのかな。

この本の前に同じコトを描いた絵本『綱渡りの男』を読んだのですが、そのときに感じたことが覆されるような本でした。絵本って怖いな、と思いました。

「非凡な芸術家なのだ」(p.315)

プティさんのことをポール・オースターさんはこんな風に言っていたそうです。私も絵本を読んだときは、彼の綱渡りを芸術的だなと感じたし、それを逮捕した当局は不粋だな、と感じました。でも、彼の綱渡りを成功させるための準備を読んでいくと、プティさん自身は綱の上で自分だけの境地に至ったり、得られたものがあったかもしれないけれど、そのために協力した人や、もしも彼の「芸術」がただの「事故」になってしまっていたときに責任を追及されることになる人たちのことをどれだけ考えているのだろう、と疑問に思えてきて、なんだかただのわがままさんを見ているような感じになりました。

絵本の絵が優しい感じのもので、それにひきずられてそんな風に思っていた面もあって、絵本って怖えーなー、と思いました。