ティナ・シーリグ『20歳のときに知っておきたかったこと』阪急コミュニケーションズ

この本を読もうと思ったのは、『これからの正義の話をしよう』の周辺でよく目にして興味を持ったためです。でも、大学の講義という共通点しかないような気もしますが。ハーバードとスタンフォードですか。どっどどどどーど。

この本は、起業家精神を学生に教えることを目的とした講義の書籍化のようなものなのですが、多くの自己啓発本と同じようになんとなくいいこと言ってそうな箇所がたくさんありました。

「キャリアについてあれこれアドバイスされても、うんざりしないでください。あなたにとって何が正しいかは、あなた自身が見極めるのですから。」(p.138)

とか、

「判断に迷ったときは、将来そのときのことをどう話したいのかを考えればいいのだと気づきました。将来、胸を張って話せるように、いま物語を紡ぐのです。」(p.167)

とか、いろいろありました。

でも、これが他の自己啓発本とどんな風に違っているのかな、と考えると不遜だけど、あまり違いが分かりませんでした。

三ツ松新さんという方が模倣の大切さの引き合いに、ニュートンの例の巨人の肩の上の言葉を出されています。前に多分、サイモン・シンさんの本だったと思うのですが、書かれていたニュートンがその言葉を使ったときに想定されていた人物とその身体的特徴のことを連想してしまって、私も何かの拍子に巨人の肩の上うんぬんという言葉を引き合いに出しそうになるのですが、その度にその背景が気になって、不謹慎な感じを受けるのですが、ただのイチャモンですが、本文の後の解説の最後にその言葉が引用されていることで、この本で言われてきたこと全ては、その裏で傷つけられたり踏みつけられたりする人に目をつむっているんじゃないのかな、という印象を与えてしまって(少なくとも私は受け取ってしまって)、ピンとこない読書になった気がします。