中谷宇吉郎『科学の方法』岩波新書

この本を読もうと思ったのは、いい本だといろんなところで目にして興味を持っていたためです。『雪は天からの手紙』と同著者であることは最近まで気づいていませんでした。

「注意すべきことは、数学が自然現象を規定しているのではなく、自然現象に合うような数学を選んで使っているという点である。」(p.115)

「99.9%は完全に適用できる場合でも、その残りの0.1%に当たった人に対しては、それは100%の誤差なのである。」(p.14)

中谷さんは、科学の限界を知ってもらうというスタンスで書かれています。それは、科学に対する過剰な期待や逆に見くびりを避けるためのようで、その語り口は軽やかなものでした。

科学の方法といったお話になると、統計的に考える必要を説くものだったり、論理的に考える必要を説くものだったり、そういった考え方や方法を一段上のもの、良いものとして、そうしない(と著者の人が想定している)多くの一般の人にダメ出ししているようなものが多いと感じるのですが、この本は全然そんな感じがしませんでした。

「19世紀は巨視的であったが、20世紀にはいって、微視的になったというと、巨視的が初歩で、微視的がさらに発達した見方というふうに思われるかも知れない。しかしそうではなく、この見方のちがいは、問題の種類によるのである。」(p.178)

実際はどうか分からないのですが、中谷さんは話せば分かるというか、一応話しを聞くだけは聞いてくれる人のように感じてゆったりと読めて安心できる本でした。

「定性的な研究、すなわち測定の対象についてその性質を常に見守っているということは、研究の初歩の時期と限らず、全期間を通じて、常に大切なことである。」(p.142)