石鍋芙佐子『はるのゆきだるま』偕成社

この絵本を読もうと思ったのは、同僚がちょっと話の中で触れていたためです。どんなお話しなのだろう、と思って読んでみることにしました。

山の中に立っている雪だるまが動物たちから春のことを聞きます。で、春に興味をもつのですが、雪だるまは動けません。春を探しにふもとへと降りていく動物たちは春のおみやげを持ちかえることを約束します。やがて動物たちが帰ってくるころには雪だるまは溶けてしまっていました。あらすじはこんな感じだと思います。

読んだときには、ひとりぼっちということを考えてしまいました。最初、雪だるまを作った子どもたちはもう訪れることもなく、雪だるまさんはひとりぼっちです。動物たちと別れたあともひとりぼっちです。「ゆきだるまは また ひとりぼっちに なりました。でも、もう さびしくは ありません。」だったとしても。雪だるまさんが溶けてしまっても、動物たちはおみやげを渡して、雪だるまさんのことを忘れ去ってしまったわけではないようでした。

でも、いなくなった人のことを思い出したり、その人のカタチを見てしまうのは(この絵本では文字通りカタチが残ります)、残っている人がやっていることで、溶けてしまう前、暖かくなる風や明るさから春の到来を感じて「ゆきだるまは うれしく なりました。」となっているのですが、動物たちが戻ってきてくれないことや自分が忘れられてしまったのではないのか、ということをちょっとでも思う瞬間がなかったのだろうか、と思ってしまいました。雪だるまさんはどんな気持ちで溶けていったんだろう、とぼーっとしてしまいます。

『Piece』の前にこの絵本を読んでこんなことをぼんやり考えていたので、マンガを読んでもその気持ちに引きずられていろいろと考えてしまいました。