M・マハー、J・チャンピー『リエンジニアリング革命』日本経済新聞社

この本を読もうと思ったのは、三枝匡さんの『V字回復の経営』の中で触れられていて興味をもったためです。

著者はビジネスリエンジニアリングを次のように定義します。「コスト、品質、サービス、スピードのような、重大で現代的なパフォーマンス基準を劇的に改善するために、ビジネス・プロセスを根本的に考え直し、抜本的にそれをデザインし直すこと」(p57)で、簡単な定義としては「初めからやり直すこと」(p55)になるそうです。

気になったのは、「バーチャル・チーム」について述べられている箇所です(p105-)。リエンジニアリングによって、細分化された職務が一つになるらしいのですが、その一つのプロセスを実行すべく共同で仕事を行う人たちを「プロセス・チーム」と呼ぶそうです。で、特定業務の完了を目的とする短期間の「プロセス・チーム」が「バーチャル・チーム」ということのようです。どうして気になったかというと、ネットとかのクラウド・ソーシングが同じような考え方をしているように思ったからです。ただ、「バーチャル・チーム」は社内・社外の人材によって構成されているようで、ネットのほうはそういった物理的領域のようなものが無いように感じられます。この本が書かれたのが1993年でネットのお話しがないのは当然だと思うのですが、この本の中で情報化がリエンジニアリングに大きく寄与するように再三触れられていたかと思うのですが、ほんとそうなのかなあ、と思いました。

そうやって連想してみてやっぱりピンとこないのは、責任の所在のようなもののことでした。リエンジニアリングによって、プロセスに焦点があたると、細分化によって各人が部分的にしか携わっていないために全体的なことが分からないということがなくなるように書かれていたのですが、クラウド・ソーシングのような場合、自分がやってるプロセスについては分かっていても、各人がやっていることを全体としてみたときの方向性や意味合いを分かっている人がいないということになったりして、全体と部分の境界や含まれる領域が変化するだけで、弊害は別の形をとりながらも同じ構造で残ったりしないのかなあ、と思います。

もしかしたら、複雑系とか言われることと関係するのかもしれませんが、よくミステリとかであるプロバビリティの犯罪を連想してしまって、気になります。

あと、「リエンジニアリングに着手した会社のおよそ五〇~七〇パーセントは、最初に意図した劇的な結果に到達していないようである。」(p297)と書かれているのですが、成功するかどうかは偶然ではなくて、能力と戦略に左右されるそうです。

『V字回復の経営』でも、改革の効果が出るには早すぎるのに業績が上向いたのは、いままでやる気のなかった社員がやる気を出したからじゃないのか、と考えている箇所があって、資格試験でも受験勉強でもなんでもいいのですが、どの参考書を使うかとか、どの予備校・専門学校を選ぶかとかよりも、実際に時間を割いてどれだけ勉強したかの方が結果に影響していそうなこととか、四色問題が力技で解かれたこととかと似ているのかなあ、と思いました。