友野典男『行動経済学』光文社新書

この本を読もうと思ったのは、経済学に感情なんて、「正統派」というか、そういったものに反旗を翻すような本なのかなー、と興味を持ったためです。副題は「経済は『感情』で動いている」となっていました。

標準的な経済学が前提とする超合理的な「経済人」(ホモ・エコノミカス)が本当にひとりでもいるのだろうか、という疑問からこの本は始まっていました。で、人間の不合理な部分が過去の実験や文献に触れながら説明されていきます。でも、だからといって、人間が不合理なものであると断じてしまうのではなくて、時に合理的であり、時に不合理であり、合理的な人と不合理な人が混じっているから、合理的な人が不合理な行動を取らざるを得なかったり、不合理な人が合理的にふるまわなくてはいけなかったりするようでした。

読んでいて思ったのは、最近読んだ『Q.E.D.』のことでした。金融工学のことがテーマとなっていたのですが、いくら確率を計算できたとしても、その確率を評価するのが人間だということを忘れてしまうと、痛い目を見るということだったのですが、この本の中で、同じ変化であっても参照点が違えば評価も違うというような説明があって、自分が何か判断をするときに、受けている印象とそういったものをできるだけ排除したときの評価を考える必要があるなあ、と思いました。でも、それって、レトリックを排していって、論理値だけを見ることのようで、レトリックを削ぎ落としていくのには時間がかかることがあって、本の中でも触れられていましたが、時間がないときは判断がしづらいようで、難しいなあ、と思いました。