アメリア・アレナス『みる・かんがえる・はなす』淡交社

この本を読もうと思ったのは、金沢の21世紀美術館が子ども達にも人気があるそうなのですが、自分で行ってみてそれが分からなくて、ついでに展示されていた現代アートも分からなくて、芸術ってなんなんだろう、と思うことがあったためです。副題は「鑑賞教育へのヒント」となっていました。

「大人になると、なぜかひとは美術作品をみて自分がどう感じるかはどうでもよいことで、美術に目を向けるのは、『見方を学んでから』にしたほうがよいと考えるようになるらしい。」(p145)でも、どうも感じずに、よー分からんと思ったときに、その美術に対してどこか余所でいいとか言われていると知ると、自分が悪いのかなあと思ってしまいます。

印象的だったのは「美術館で使われる言葉」という章で書かれていたことです。作品を説明するラベルの言葉が来館者にとって分かりづらいために、役に立っていないという感じのことが述べられています。別の世界でのお話しかもしれないのですが、顧客満足とかいう言葉を耳にすることがありますが、美術館で働く人や芸術を「一般の人」に教えるような人が、教える対象のことをどんな風に考えているのだろうと思いました。「美術館が言おうとしていることは、美術史のもっとも基本的な考え方、つまり作品は作者の手によってのみ、つくられるのではないという考え方ともく違っている。」(p118)

最後に、内容ではないのですが、p61に載っている禁煙広告のキャプション(kissing a smoker is like licking an ashtray)を「煙にキスするのは灰皿を舐めるのと同じです」(p60)としているのですが、煙じゃなくて、喫煙者じゃないのかなと思いました。この部分のあとの部分で、美術館が使う言葉が穏当なものにされている、という指摘があって、このキャプションでも、キスの対象として煙と喫煙者じゃそこに暗に含まれる性的な意味合いが違ってきて、禁煙広告の訴求効果が違ってくるんじゃないのかな、と思いました。