山岡淳一郎『あなたのマンションが廃墟になる日』草思社

この本を読もうと思ったのは、マンションを購入するのが、人生のアガリのひとつの形のように言われることがあるかと思うのですが、購入したって、老朽化したりして、そのときに、他の部屋が空いていたりしたら、少ない住人で建て替えるのも難しいだろうし、そうなると、全然アガリじゃなくて、大変だなあ、と思ったりして、家を購入するのとどっちがいいのだろう、とか思ったりしたためです。

「マンションはプライバシーが確立され、煩わしさと無縁―というのは購入時のことである。そこに住んだ瞬間からコミュニティの一員となり、『区分所有法』に則って、『自分たちのことを自分たち』で決めなければならなくなる。」(p17)「手弁当で動きまわる彼らは、七六八戸の住人のほんのひとにぎりだった。割の合わない推進委員のメンバーに加わろうとする者はいない。」(p60)

建て替えでいくのか、修復・修繕でいくのか、その決定には色んな思惑が絡んできて、複雑そうでした。

あと、印象的だったのは、阪神淡路大震災後のことに触れた部分で、その復興について、どういった評価が定まっているのかよく知らないのですが、この本で書かれていたような側面を知っておく必要はあるな、と思いました。「震災を『千載一遇』のチャンスととらえ、新たな都市づくりをと意気込んでいた他の建築家は頭から冷水を浴びせられた。」(p210)

この本を読んでいると、住環境というものが、都市計画や建築基準法など、そういったものに縛られている、という感覚が強くなっていくのですが、実際にそういった縛りを感じるのは、自分が困った事態に陥ったときのような気がして、で、そういった困った事態というのは、購入したときじゃなくて、そのしばらく後に発生するようで、そう考えると、普通な表現ですが、先先のことや、勧めてくる人とかが信用できるかとか、誰の利益を考えているのか、などなどを気にかけるのが大事なんだろうな、と思いました。