河野哲也『暴走する脳科学』光文社新書

この本を読もうと思ったのは、TVを見ていて、脳科学者と呼ばれる人が出ていて、「脳科学的に~」といろんなことを説明したり、解釈したりしていることが結構あるのですが、なんか、それでいいのかなあと思うことがあったためです。

「一般の市民には、まだまだ科学技術リテラシーとマスメディア・リテラシーが欠如している。このことは、知識習得に専念し、批判的思考の獲得を重視しない日本の教育の根本的な欠陥を表わしいる。」(p212)

この本を読んで思ったのは、タイトルは『暴走する脳科学』となっていますが、伝わってくるのは「暴走する(かもしれない)脳科学」ということだったなあということです。上に引用した部分を読んで、ふと思うのは、科学技術リテラシーやマスメディア・リテラシーも暴走することってないのかなということでした。

「身体の障害は、脳テクノロジーを導入してまでも克服しなければならないものだろうか。」(p193)これは上にあげたリテラシーから出てくる考え方かどうか分からないのですが、障害をもっている人個人にしてみれば、導入してまでも克服しなければならないものかもしれなくて、実は、この本で指摘されている脳科学の問題点をきちんと把握できてないのですが、それでも、そういった問題点はそれを指摘する側にも発生していくような気がします。

と、思えるのは、私がこの本の著者の専門(哲学)や脳科学両方について専門家じゃなくて、素人だという甘えのためかもしれませんが。