上遠野浩平『ヴァルプルギスの後悔』Fire1.電撃文庫

この本を読もうと思ったのは、ブギーポップシリーズだったためです。

「そいつはさながら、伝染病のようだとも言われている―触れた者から触れた者へ、ずっと一箇所に潜伏していたと思うと、突然発現する。人から意志を奪い、己の思うがままに導く―そいつにだけは気をつけろ、と言われるけど、でも注意のしようがないのも事実で、自分の影に怯えるようなもので―どこまで行ってもついてきて、けっして消せない。そう―」(p201)「でもそれはもう、私たちも同じことで、きっと世界中のみんながそうなのよ。みんながみんな、既に取り憑かれてしまっている」(p202)

上遠野浩平さんの本を読んでいると、高校生の頃に読むことができたら、刺激が強かったんじゃないのかなあ、と思うことが多いのですが、なんとなく感じているヤな感じというか、閉塞感というか、まあ、ヤな感じでしょうが、そういった漠然としたものを人だったり、組織として明確に対象化している気がして、それは統和機構でもなんでもいいのですが、なんかうまくいかない自分のことを、どこかにいる誰かのせいだと考えられることかもしれなくて、でも、対抗すべき相手がはっきりしているものではなくて、この本の世界のように名前が与えられるものではないかもしれないことを比較的強く感じてしまうと、この本で書かれている(多分)「トンガッている」と言われる考えや思いがうそ臭く感じられるような気がします。