小松正之『よくわかるクジラ論争』成山堂書店

この本を読もうと思ったのは、むかしみた『美味しんぼ』のアニメのことが記憶にあったためです。詳細は覚えていないのですが、外国の人が一方的にクジラ料理のことを捕鯨問題に絡めて批判するものの、人形だったかにひげが使われていて、文化にも関係しているから、そういった批判は一面的だって感じの内容だったと思います。捕鯨問題と聞くと、日本が捕りすぎているといった日本バッシングというイメージが強くて、でも詳しいことはよく分からなくて、この本を読んでみることにしました。

「野生動物の利用を激しく規制しようとするのは、アメリカをはじめとする欧米の先進諸国の人々である。だが、いうまでもなく先進国は数々の野生動物を絶滅、もしくは絶滅の危機に導いてきた側である。」(p177)

この本はタイトルにあるように論争だけを扱ったものではなく、クジラの種類や生態、調査の仕方なども書かれていました。で、欧米の捕鯨は油目的なので、他の部分のロスが多かったけど、日本の場合、クジラの体を全部使うのよい、などなど書かれていました。あと、捕鯨の停止は科学的な根拠にもとづくというよりも、政治的過程の結果であるように書かれていました。で、科学的に考えれば、日本が捕ろうとするクジラはたくさんいるので、適切な量の捕鯨は再開できるということのようでした。

「利用可能なクジラ資源を利用しないことこそ、資源を無駄に損なっていることになる。また、特定の生態系の要素だけを保護することは、生態系全体のバランスをくずし、崩壊につながりかねない。したがって、捕鯨禁止は環境保護につながらない。」(p178)

「環境について見解を示す機会を与えられると、社会は決まったように、環境はできるだけ『自然』であってほしいという結論を出す。」(『飽食の海』p67)バランスを崩すことになる生態系は「自然」のものと考えられていると思うのですが、そこでいう「自然」ってどうなんだろうなあ、とか、変化していないのかな、とか思ってしまって、ついでに『木を植えた男』で男が育てた木を見た偉そうな人たちが感動しているシーンのこととか連想してしまいました。